身内が逮捕された!今後の逮捕手続きの流れを解説します

「出勤途中の夫が痴漢で逮捕された」「一人暮らしの息子が詐欺で逮捕されたと警察から連絡が来た」等々、ある日身内が刑事事件に巻き込まれ、逮捕されるケースがあなたの身にも起こらないとは限りません。
この記事では、もしも身内が逮捕された場合に、どのような手続きの流れになるのかについて説明します。

そもそも逮捕とは

逮捕とは、警察などが犯罪の容疑がかかった被疑者を捕まえて拘束することをいいます。
逮捕令状が出て逮捕されることもあれば、現行犯逮捕されることもあります。
警察に逮捕されると、手錠をかけられて、警察署の留置場に入れられ、取調べを受けるのが通常です。

芸能人の逮捕や、スポーツ選手の逮捕など、新聞やテレビで、逮捕に関するニュースを目にしない日はありません。
しかし、逮捕は決して他人事ではありません。
思わぬ犯罪の容疑をかけられたり、家族が突然逮捕されるということもないとは言えません。

犯罪の容疑をかけられないに越したことはありませんが、逮捕や刑事事件の手続きについて知っておくと万が一の場合に役立ちます。
今回は、逮捕の種類について説明します。

逮捕には、通常逮捕現行犯人逮捕緊急逮捕という3つの種類があります。

通常逮捕

犯罪の容疑をかけられた人のことを「被疑者」といいます。
テレビなどでは「容疑者」といいますが、これはマスコミ独特の呼び方です。

通常逮捕とは、犯罪の捜査が行われ、被疑者が逃げたり証拠隠滅をする恐れがある場合に、警察が裁判官に逮捕状を請求して、裁判官が逮捕してもいいと認めた場合に出す逮捕状によって行うものです。

テレビドラマで、刑事が逮捕状を示して手錠をかけるシーンは通常逮捕といえます。

実際に、どういったケースで逮捕が認められるかは個別の事情によって異なりますが、住まいや職業が不定だったり重大な事件の場合は逮捕の可能性が高まると言えるでしょう。

現行犯逮捕

現在犯罪を行っている人や犯罪を行い終わったばかりの人、犯罪を行って間もないと認められる人など、明らかにその人が犯人と認められる人を、逮捕状なしで逮捕できるものです。

具体的には、人を殴ったところを目撃された場合や、犯人として追われていたり、返り血を浴びたり犯行に使用した凶器を持っているような場合、名前を呼ばれて急に逃げたような場合を指します。
現行犯人逮捕は、警察官だけでなく、一般人も逮捕することができますが、一般人が逮捕した場合は警察官などに引き渡す必要があります。

緊急逮捕

被疑者が、強盗罪や殺人罪などの一定の重大犯罪を行ったと疑う充分な理由があり、同時に、逮捕すべき緊急の必要性が認められる場合に、逮捕状なしで逮捕できるものです。

通常の痴漢や盗撮行為では、緊急逮捕することはできません。
緊急逮捕した場合は、逮捕後すぐに逮捕状を請求して裁判官に認めてもらう必要があります。

逮捕後の手続きの流れ

逮捕されると、それから48時間以内に検察庁に連れていかれ、そこで検察官の面談を受けます。
通常、朝、留置場に入れられている被疑者が一緒にバスに乗せられ、その地域を管轄する検察庁に連れて行かれます。
検察官との面談は順番なので、自分の順番が来るまでひたすら待ち、全員の面談が終わって留置場に戻るのは、夕方から夜になることが多いようです。

面談をする検察官は、逮捕に続いて身柄の拘束をすべきかどうかを検討し、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断した場合は、24時間以内に裁判官に拘束を認める命令を出すよう請求します。
検察官の申し出を受けた裁判官は、被疑者の言い分を聞いて、裁判官も拘束すべきと判断した場合には、検察官の請求から10日間、留置場にとどめ置く命令を下します。
これを勾留決定といいます。

勾留の流れと手続きとは

勾留とは、逮捕に続いて行われる身体拘束のことをいいます。
勾留は、無暗にできるわけではなく、要件が決められています。
具体的には、住居不定、証拠隠滅のおそれ、逃亡の可能性といった勾留の理由があることに加えて、犯罪の容疑がかけられた被疑者の日常生活を犠牲にしてでも勾留する必要があると認められるケースのみですることができるとされています。

逮捕から72時間以内に、検察官が犯罪の容疑をかけられている被疑者と面談して、これらの事情があるかを踏まえて勾留すべきかどうかを検討し、勾留すべきと判断すると裁判官に勾留を認めるよう請求します。
請求を受けた裁判官も被疑者と面談した上で、勾留すべきと考えて勾留決定という命令を出すと、勾留されることになります。

勾留の期間は、検察官が裁判官に対して勾留請求をした日から10日間ですが、事件の性質や捜査の状況によってはその後さらに10日間の勾留延長がされることがあります。
一旦勾留が決定されると、多くの事件で逮捕から23日の勾留期間が続き、留置場生活を強いられるのが実務の運用です。

なお、逮捕後の72時間は家族であっても面会できませんが、勾留期間は、接見禁止という処分がつかなければ一般の人と面会することができます
ただし、一般の人の面会は、平日の昼間に限られ、時間も1回15分、また他の方が先に面会していた場合はその日の面会はできないなど、様々な制限があります。

勾留された被疑者にとって、10日間留置場で生活が続くことになると、会社や学校への影響は避けられません。

最短で留置場から釈放されるための方法

上述したように、逮捕後に勾留が決定されると、検察官が勾留を請求した日から10日間、また多くの場合で延長されて更に10日間、留置場生活が続く可能性があります。
勾留を防ぐためには、弁護士を通じて家族の支えがあることなどを伝えることが有効ですが、それでも勾留が決定されることがあります。

勾留されてもできる対応ー「準抗告」とは

本来、認められるべきでない勾留がされてしまった場合には、弁護士に不服申し立てをしてもらいましょう。

この不服申し立てのことを「準抗告」といい、裁判官の判断の間違いを防止するための手続きのことです。
釈放してもらうだけではなく、面会が禁止されている場合は面会を認めてもらうための準抗告など、不服申し立ての対象は様々です。

準抗告の方法とは

準抗告の手続きでは、弁護士が「検察官の勾留請求を認めた裁判官の判断は間違っているから、この判断を取り消して釈放してほしい」ということを申し立て、勾留を決定した裁判官以外の裁判官3名が話し合い、勾留の必要性などを検討してもらうことになります。

勾留決定が間違いだったと認めてもらうためには、家族のサポート体制を実際に十分に整えたり、犯罪の性質によっては通院体制を整えたりといった対応をとることも必要になりますし、さらにそれを書面で適切に伝えなければいけません。

実際は難しい準抗告の壁

準抗告は、裁判官の判断が間違っていたということを、同じ立場の裁判官たちが判断することになるので、実際に認められるのは簡単ではありません。
刑事事件に不慣れな弁護士だと、最初から尻込みしてしまうかもしれません。

しかし、本来行われるべきではない勾留が認められてしまった場合は、諦めずに不服申し立てを行い、1日も早い釈放を目指しましょう。
もし家族が逮捕・勾留された場合には、刑事事件に強い弁護士を探してみることをお勧めします。

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